不動産特定共同事業(FTK)における特例事業とは?導入された背景を解説
公開日 2023/09/01
最終更新日 2023/09/01
不動産特定共同事業 (FTK)は、1995年(平成7年)の不動産特定事業法 (以下、不特法) の施行から時代の変化を受けながら改定を繰り返してきました。
2013年(平成25年)には、倒産隔離型スキームとして導入された特例事業があります。今回は、不動産特定共同事業 で導入された特例事業について解説しましょう。
不動産特定共同事業(FTK)における特例事業とは?
不動産特定共同事業における特例事業とは、不動産特定共同事業契約の収益や利益の分配を専門に実行する特別目的会社 (SPC) が倒産隔離型スキームを目的に実施される事業です。
特例事業が導入された背景
特例事業が導入された背景は、不動産特定共同事業における第1号事業者の許可条件の高さ が考えられます。第1号事業の許可を得る条件は、次のとおりです。
- 資本金1億円以上
- 宅地建物取引業の免許
- 事業を運営できる財産的基盤
- 人的構成
第1号事業は、限定された目的(特定の資産を担保にした証券発行)のために設立されたSPC(特別目的会社)では条件を満たせません。SPCは、倒産隔離を要請する都合上、従業員を置かないことが一般的だからです。
GK-TKスキームの活用の場合
SPCのスキームには、不特法を避けるGK-TKスキーム
の活用で不都合がありました。合同会社に信託受益権として不動産を所有させても収益を見込めていない場合です。信託期間中に費用を運用収入で見込めない不動産では、信託会社の受託が受けられない不都合さが考えられます。
TMKスキームの活用の場合
TMKスキームでは、不特法を避けて現物不動産をSPCに保有させます。そのため、信託受益権は不要です。ただし、資産流動化計画の報告書を作成して提出する義務が発生します。税務上の機関投資家の特定社債の引受など手間が必要となるため、不自由な面が課題でした。
平成25年の不特法改正により、第3事業者と第4事業者を絡めることで、第1号事業者と同じ事業を実施できる特例処置が導入されたのです。
特例事業を導入した目的
GK-TKスキーム、TMKスキームにおける背景をふまえて、特例事業は導入されました。特例事業を導入した目的は次のとおりです。
- SPCを利用して倒産隔離を実現する
- 株主資本や社債などの返済資金を調達しやすくする
- 現物不動産を証券化するための新しい制度実現
- 民間資金の導入により建築物の耐震向上
- 民間資金の導入により建築物の再生(老朽・遊休)
これらを目的に特例事業は、導入されました。
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