不動産クラウドファンディングで元本割れした事例は?安全に投資するための注意点を解説
公開日 2025/12/15
最終更新日 2025/12/15
「不動産クラウドファンディングは元本割れしたことがある?」と不安に思っている方も多いでしょう。
結論から言うと、2025年12月時点では“元本割れが公式に発生した事例は確認されていません”。
しかし、元本割れには至らなくても、償還遅延や 分配金の遅延の事例は発生しています。
この記事では、まず元本割れしにくい理由を説明し、そのうえで実際に起きた「遅延リスク」の具体事例を紹介します。
さらに、遅延を避けるためにチェックすべきポイント、安全に投資するコツを初心者向けにわかりやすくまとめています。
- ・不動産クラファンは仕組みを理解せずに始めるとリスクを見落としやすい
- ・物件の売却計画や出口戦略は必ず事前に確認する必要がある
- ・賃料収入に依存する案件は空室リスクの影響を受けやすい
- ・運営会社の財務体質や情報開示姿勢は安全性を左右する
- ・1案件に集中せず複数ファンドへ分散することが重要
- ・初心者ほど利回りだけで判断せずリスク面を重視すべき
公式に元本割れが発生した事例は2025年12月時点でゼロ
2025年12月時点で、日本の不動産クラウドファンディング事業者において、 元本割れしたと公式発表された事例はありません。
しかし、元本割れには至らなくても、償還遅延や 分配金の遅延の事例は発生しています。
実際に発生した「償還遅延」「分配金遅延」の事例
元本割れは発生していないものの、実際に「償還」や「分配金」の遅延が報告されたケースはあります。
ここでは、代表的な2つの事例を紹介し、遅延が生じた背景と投資家への影響を整理します。
事例1:ヤマワケエステート
ヤマワケエステートでは、2025年3月に一部ファンドで償還延期が発表されました。
対象となったファンドは、札幌市の不動産を扱うシリーズで、物件売却の完了が遅れたことが原因と説明されています。
同社はその後、運用終了の定義を見直す方針も公表しており、今後の運用透明性向上に努める姿勢を示しています。
事例2:みんなで大家さん
みんなで大家さんでは、2025年7月以降に一部ファンドで分配金の支払い遅延が発生しました。
原因は、テナント企業による賃料支払いの遅れとされています。
さらに11月には、出資者およそ1,100人が大阪地方裁判所に提訴し、出資金の返還を求める集団訴訟が報じられています。
不動産クラウドファンディングで元本割れが起こり得る理由
不動産クラウドファンディングは、比較的安定した投資先といわれています。
しかし、構造上、元本割れする可能性がまったくないわけではありません。
ここでは、代表的なリスク要因を簡潔にまとめます。
1. 不動産価格の下落
景気の悪化や地価の下落によって、物件の売却価格が想定よりも下回ることがあります。
売却益が減ると、投資元本をすべて回収できず、損失につながるおそれがあります。
特に短期運用型のファンドでは、売却のタイミング次第で影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。
2. 賃料収益の悪化
入居者の退去や賃料の値下がり、テナントの撤退などによって、想定していた収益が得られない場合があります。
賃料が減ると分配金が少なくなるだけでなく、物件の評価額にも影響を及ぼします。
長期間空室が続くと、最終的な償還額が下がる可能性もあるため、稼働率の高い物件かどうかを確認することが大切です。
3. 運営会社の経営リスク
ファンドを運営する事業者が経営難や資金繰りの悪化に陥ると、投資家への分配や償還が遅れるリスクがあります。
最悪の場合は、倒産によって元本の一部または全部を失うことも考えられます。
4. 海外案件の為替・法制度リスク
海外不動産を扱うファンドでは、為替変動や法制度の変更によって収益が変動するリスクがあります。
円安や現地通貨の下落が進むと、円換算したときの収益が減少する可能性があります。
国によっては外国人の所有に制限があり、制度変更によって計画どおりに運用できなくなるリスクもあります。
5. 災害や外部要因による損失
地震や火災などの自然災害、地域経済の衰退、パンデミックなどによって、物件価値や賃貸需要が下落するケースもあります。
保険で一定の補償は受けられる場合がありますが、想定外の損失まではカバーできないこともあります。
不動産クラウドファンディングが元本割れしにくい理由
不動産クラウドファンディングは、個別株や仮想通貨などの投資商品と比べて、元本割れしにくいといわれています。
その理由は、仕組みの段階で投資家を守る工夫が組み込まれているからです。
ここでは、主な3つのポイントを確認しておきましょう。
1.優先劣後構造による投資家保護
多くの不動産クラウドファンディングは「優先劣後構造」という仕組みを採用しています。
これは、損失が出た場合にまず運営会社(劣後部分)が負担し、投資家(優先部分)の元本を優先的に保護する仕組みです。
劣後比率を上回る規模で損失が出れば、投資家にも元本毀損が生じますが、劣後比率の範囲内であれば守られます。
すべてのファンドでこの仕組みが採用されているわけではないため、確認が必要です。
2.物件価値が急落しにくい不動産特性
不動産は株式や暗号資産のように価格が日々乱高下しにくいため、短期間で急落しにくい特徴があります。
また、賃料収入など定期的な収益もあるため、物件価格が下がっても一定の価値が保たれます。
こうした価格の安定性が、元本割れが起こりにくい要因のひとつといえます。
3.不動産特定共同事業法に基づく許可・監督体制
国内の不動産クラウドファンディング事業者は、
不動産特定共同事業法に基づき、国土交通省または都道府県知事の許可・登録を受けて運営されています。
この法律では、事業者の体制や契約内容、情報開示ルールなどが定められています。
そのため、無許可運営や極端に不透明な運用が起きにくい仕組みとなっています。
元本割れを避けるためのポイント
不動産クラウドファンディングは比較的元本割れしにくい投資ですが、リスクをゼロにはできません。
損失を避けるためには、押さえておくべきポイントを理解しておきましょう。
ここでは、初心者でも実践しやすい3つの基本的な対策を紹介します。
1.小口分散(1万円×複数ファンド)
1つのファンドに大きな金額をまとめて投じるのではなく、少額ずつ複数ファンドに分けて投資しましょう。
分散することで、特定のファンドで遅延や損失が出ても全体への影響を抑えることができます。
1万円など少額で始められる不動産クラファンの特徴を活かし、複数案件に広く投資することが効果的です。
2.信頼できる事業者の選定
運営会社の財務状況や運用実績、情報開示の姿勢を事前に確認することが重要です。
トラブルの多い事業者は、分配金遅延や計画の見直しが発生しやすく、投資リスクが高くなります。
こうした点に着目すると、信頼性の高い事業者を選びやすくなり、元本割れのリスクを下げられます。
3.優先劣後出資制度が導入されているサービスを選ぶ
優先劣後構造を採用しているサービスでは、運用損失が出た際にまず運営会社が負担する仕組みが整えられています。
劣後出資の割合が高いほど、投資家の元本が守られやすくなります。
サービスを選ぶ際は、この制度の確認を忘れないようにしましょう。
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まとめ
2025年11月時点、不動産クラウドファンディングにおける“公式元本割れ”は確認されていません。
しかし、構造上のリスクや、実際に起きている償還遅延・分配遅延は無視できません。
事業者の透明性、案件内容、出口戦略、優先劣後構造をしっかり確認し、 複数案件に分散して投資することが、安全なクラファン投資の必須条件です。
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