同じ年利6%でもスコアが全然違う|ファンド判断シートで2案件を採点してみた
公開日 2026/06/19
最終更新日 2026/06/19
不動産クラウドファンディングの募集ページで、同じ「年6.0%」のファンド2つを見比べ「何が違うかわからない……」と悩んだことのある方は多いのではないでしょうか。
実際には、利回りが同じでも、運営会社・物件・ファンドの条件はまるで別物です。
この記事では、同じ年6.0%の架空2案件をゴクラクJOURNAL独自の「ファンド判断シート」で採点し、その「見えない差」を可視化します。
そもそも「ファンド判断シート」とは?
採点に使うのは、ゴクラクJOURNAL独自の「ファンド判断シート」です。
これは、案件を「事業者」「物件」「ファンド条件」の3軸に分け、各項目を点数化して比較できるようにした無料の採点テンプレートです。
利回りという1つの数字だけでなく、運営の信頼性や出口戦略、損失への備えまでを横並びで見比べられるのが特徴です。
感覚的な「なんとなく良さそう」を、数字に置き換えて判断できるようになります。
シートの全項目の解説とダウンロードは、以下の記事にまとめています。
こうした採点が役立つのは、不動産クラファン市場が急拡大し、似た利回りの案件が一気に増えているからです。
しかし、不動産特定共同事業法に基づく許可事業者であっても、行政処分・償還遅延・運営会社の破綻といったトラブルが現実に起きています。
だからこそ、利回りが横並びの案件こそ、感覚ではなく採点で差を可視化する価値があるのです。
今回採点する2つのファンド(架空)
採点に入る前に、今回の主役である2つの架空ファンドを紹介しておきます。
ファンドAは上場グループ系の都心レジデンス「みなとシティレジデンス号」、ファンドBは新興事業者による地方リゾートホテル「ゆけむり温泉リゾート号」です。
どちらも募集ページ上の想定利回りは年6.0%で、最低投資額は1万円から、という共通の土俵に立っています。
この2案件のプロフィールを頭に入れたうえで、後半の採点を読み進めてください。
ファンドA「みなとシティレジデンス号」(架空)
ファンドAは、東証プライム上場グループの100%子会社が運営する都心レジデンス案件です。
サービス開始から約4年半、累計128本・累計調達額約420億円という運営実績があり、元本割れ・配当遅延・行政処分はいずれもありません。
派手なキャンペーンや独自サービスは一切なく、数字と実績で勝負するタイプの事業者です。
| 運営主体 | 東証プライム上場グループの100%子会社 |
| 運営実績 | 累計128本/約420億円(直近1年 約120億円) |
| 投資家保護 | 金銭信託で資金管理 |
| 物件 | 港区・駅徒歩4分・築6年の一棟レジデンス(満室稼働) |
| 出口戦略 | グループ会社が優先買取交渉権を保有 |
| ファンド条件 | 劣後25%・借入なし・SPCスキーム採用・運用6ヶ月 |
| 想定利回り | 年6.0%(インカム2.0%+キャピタル4.0%) |
ファンドB「ゆけむり温泉リゾート号」(架空)
ファンドBは、2023年設立・非上場の新興事業者が運営する地方リゾートホテル案件です。
サービス開始から約1年10ヶ月で、累計組成は8本、平均想定利回りは7.2%と高めですが、償還済みはまだ3本にとどまります。
毎月分配・常設のギフトキャンペーン・専用アプリなど、投資家を引きつける独自サービスが充実しているのが特徴です。
| 運営主体 | 非上場・設立2023年・資本金5,000万円 |
| 運営実績 | 累計8本/約12億円(直近1年 約8億円) |
| 投資家保護 | 分別口座(分別管理)のみ |
| 物件 | 地方温泉地・車15分・築22年(リニューアル済)40室(稼働率非開示) |
| 出口戦略 | 「市況を見て第三者へ売却を想定」のみ |
| ファンド条件 | 劣後10%・銀行借入併用(LTV約60%)・匿名組合型・運用18ヶ月 |
| 想定利回り | 年6.0%(インカム型)+2%ギフト還元(実質約7.3%相当) |
キャンペーンは、新規投資家へ投資額の2%相当のAmazonギフト券(上限2万円)を還元する内容です。
運用18ヶ月で年換算すると約+1.3%に相当し、利回りと合わせた実質は約7.3%相当という見え方になります。
平均利回りの高さもあり、数字の上ではファンドBのほうが魅力的に映るかもしれません。
しかし、想定利回りはどちらも同じ年6.0%です。
同じ利回りの裏側にある「中身の差」が採点でどう表れるのかが、今回の最大の見どころです。
※本記事の2ファンドはいずれも架空の事例であり、実在のサービス・事業者とは一切関係ありません。
採点ルールのおさらい:3軸×A〜D評価
今回使うのは、ゴクラクJOURNAL独自の「ファンド判断シート」です。
このシートは、案件を「事業者スコア(27点)」「物件スコア(15点)」「ファンド条件スコア(21点)」の3軸に分けて整理する採点表です。
各項目をA=3点、B=2点、C=1点、D=0点で採点し、合計63点満点で格付けします。
ランクの目安は、S=56点以上、A=47〜55点、B=38〜46点、C=37点以下です。
この3軸という発想には、不動産クラファン特有のリスク構造が反映されています。
不動産特定共同事業法では、事業者の倒産から投資家の資金を守る「倒産隔離型スキーム」や、損失をまず事業者が負担する「優先劣後方式」といった仕組みが整備されてきました。
つまり、誰が運営し(事業者)、何を対象に(物件)、どんな条件で守られているか(ファンド条件)を分けて見ることが、リスク把握の王道なのです。
各項目の詳しい定義やダウンロード方法は、判断シートの解説記事にまとめられています。
シートの中身を手元に開きながら読み進めると、採点の理由がより腹落ちするはずです。