利回りだけではない!不動産クラウドファンディングを選ぶ際に必要な視点とは?人気ファンドの運営3社がそれぞれ大切にしていること

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2025年も複数の企業が不動産クラウドファンディング市場へ参入を果たしました。様々なファンドがあるため、投資家は目利き力が欠かせません。

不動産クラウドファンディングを選ぶ際は、誰しも利回りの確認を行いますが、類似の利回りのファンドも多い状態です。それでは利回り以外にどのような部分を見ればよいのでしょうか?

今回は不動産クラウドファンディングにおいて、利回り以外で注目すべき部分のヒントを得るため、人気あるファンドの組成を行っている以下3社に、利回り以外で大切にしている点などをうかがいました。

香陵住販株式会社(https://koryo-funding.jp/

・茨城県を地盤とする上場不動産会社(東証スタンダード:3495)。「KORYO Funding」の名称で自社が管理する物件を組み入れる不動産クラウドファンディングを運営中。(インタビュー先:香陵住販株式会社 不動産ソリューション第三営業部部長 太田 康之氏)

株式会社えんホールディングス(https://en-funding.en-hd.jp/

・福岡市に本社を置く、地域の有力マンションディベロッパー。「えんfunding」の名称で、自社物件を組み入れた不動産クラウドファンディングを運営中。(同:株式会社えんホールディングス DX推進部 部長 坪倉 伸一氏)

株式会社マリオン(https://www.i-bond.jp/

・東京都新宿区に本社を置く、不動産賃貸事業などを手掛ける上場会社(東証スタンダード3494)。「i-Bond」の名称で、期間無期限、オープンエンド、住居中心の不動産クラウドファンディングを運営中。(同:取締役営業本部長 飛田 明彦 氏)

利回り依存からの脱却:投資家を惹きつける利回り以外の価値について

---本日はよろしくお願いします。それぞれが人気の不動産クラウドファンディングを手掛けていますが、最初に利回り以外で投資家を惹き付けるために行っている施策や、自らが利回り以外の魅力と考えている点を教えてください。

香陵住販:

当社は平均利回り4.5%、期間12ヵ月のファンドを手掛けています。当社は上場会社であり、上場会社が手掛ける不動産クラウドファンディング、という面が投資家に対する安心感につながっていると感じています。

またインカム型のファンドで、当社が物件の管理や賃貸募集を行うことで、入居者に困らない物件をファンドに組み入れている部分も、投資家から信頼を得ているのではないでしょうか。

えんHD:

当社は「エンクレスト」という自社開発の居住用マンションに特化したファンドを運営しており、期間は6~12ヵ月で平均利回りは3.3%です。

当社の扱う「エンクレスト」は福岡で有数のマンションブランドであり、当社は、入居率や供給・販売数といった実績から物件づくりへのこだわりまで、自社物件に絶対的な自信を持っています。

この自信が利回り競争とは一線を画した無理のないファンド運営にもつながっており、結果的にファンドのリスク低減につながっていると考えています。

マリオン:

当社のファンドも上場会社が運営する不動産クラウドファンディングです。

利回り1.5%(税引前)ながら、1万円から投資でき運用期間は無期限で、投資家はファンド期限を気にせず継続的に分配金を得ることが可能です。

また、投資家が保有する権利は、当社に買取を請求することで、24時間365日いつでも入出金の受付が可能となり、“資金の自由度が高い”という特徴もあります。

投資家が必要な時に必要な資金を動かせるという商品設計は、短期・中期・長期のあらゆる投資資金のニーズに対応できるため、支持を得ています。

各事業者の投資家との信頼を築く独自の戦略

---不動産クラウドファンディング事業をスタートした後、事業を続けるにはファンドに投資する投資家との信頼関係の構築が欠かせません。どのように投資家との信頼関係を築いているのでしょうか?

香陵住販:

当社は茨城を地盤とする地元密着の不動産会社であり、当社のファンドは上場会社が運営する地元密着のインカムゲイン型のファンドです。全体の投資家数の増加で減少傾向にありますが、今も当社のファンドの投資家は茨城県の方が多いです。

また、新規投資家よりもリピーターが多く、感覚的には半数が既存投資家です。一般的にファンド募集の方式は、先着方式と抽選方式があります。当社の場合は先着方式だと、1分もかからずに枠が埋まることもあり、PCの操作に慣れている方が優位です。

先着方式ではファンドに投資できない、と投資家からご指摘をいただいたため、当社では先着方式と抽選方式を交互に実施しています。また、現在は会員にメールでファンドの案内を行う程度で、特に営業せずともファンド募集ができています。

えんHD:

当社のファンドは自社ブランド「エンクレスト」の物件に特化し、建築企画から管理までえんHDグループで行っています。

ファンドの既存会員は約1万名であり、アクティブな会員は毎回抽選に申込みいただくなどリピート率が高いです。

当社は本社のある福岡を中心に「エンクレスト」を展開していますが、「エンクレスト」や当社の取り組みを全国の方々に知ってもらい応援していただきたい、という思いを持ってファンドを運営しています。

このため全国の方へのアプローチにも力を入れています。具体的には、私が代表を務めるグループ会社が運営するWebメディア「フクリパ」(https://fukuoka-leapup.jp/)で、福岡県外の方の認知獲得のため、福岡の良さや福岡の様々なイベントの盛り上がりなどを発信しています。

当社の会員は全国にいらっしゃるので、フクリパとの相性も抜群です。

どこでも見ることができる、WEBメディアの特徴が活用できています。

マリオン:

実質的に資金の自由度が高い当社ファンドは、投資家の多くが2回目、3回目とリピートしています。24時間365日いつでも入出金の受付、という独自性が評価され、3月まで行っていた既存投資家からの顧客紹介プログラムも投資家集めに有効に機能しました。

先着式と抽選式のいずれも、人気の高利回りファンドでは投資家同士で競合が生じますが、当社の場合は投資家同士の競合がありません。

また、不動産クラウドファンディング業界はネットでの集客が中心ですが、当社ではオンラインミーティングを含むリアルでの対面営業も重視しています。

ネットだけでは伝わりにくい情報や顧客の疑問に直接対応することで、当社のメッセージを顧客にしっかりと伝えることができ、投資家の安心感につながっていると考えています。

課題とされる不動産クラウドファンディングの流動性の低さについて、セカンダリーに対する考え方

---不動産クラウドファンディングでは、ファンド償還まで資金が固定化される流動性の低さが欠点として指摘されることがあります。流動性の低さをカバーするため、ファンドの2次取引を実現するセカンダリー市場のサービスの整備を要望する声もありますが、セカンダリーに対するお考えをお聞かせください。

香陵住販:

現在の当社のファンドは、基本的に期間12ヵ月の設定です。12ヵ月という期間は、途中売却ができない不動産クラウドファンディングにおいて、投資家に好まれる期間設定となっています。

現状、セカンダリー市場がなくとも、投資家と事業者が12ヵ月の期間で妥協点を見つけている状態です。セカンダリー取引ができれば、ファンド期間の柔軟化ができるため、特にインカム型ファンド中心の事業者としては歓迎できます。

ただし、当社のファンドは出資上限が100万円で投資家は小口投資が中心のため、手数料次第では途中売却のメリットが薄れてしまうのではないでしょうか。

えんHD:

不動産クラウドファンディングで途中売却ができるセカンダリー機能ができることは、特に当社のようにアセットをストックしていきたいと考える事業者にとって、ファンド期間を長くできるためプラスに働くと考えています。

セカンダリー機能のない現状では、長期ファンドに投資家が集まりにくい、という課題があります。

セカンダリー機能は不動産クラウドファンディング業界にとって欠かすことができず、2次取引の活性化により、事業者はファンド設立をしやすくなり、また投資家も増えると期待されるため、不動産クラウドファンディング市場にとって追い風になると思います。

マリオン:

不動産クラウドファンディングのセカンダリーサービスは、業界全体としては大きな意味があると考えています。ただし、ライセンスやブロックチェーンの利用などの事業者側の労力やコスト負担が課題です。

当社の場合は、投資家の権利を買い取る形で自社がセカンダリー市場を運営している状態であり、このセカンダリー機能が当社ファンドの強みとなっています。

業界として、セカンダリー市場ができることにより、新たな投資家層の開拓につながるため、未だマイナーな不動産クラウドファンディング市場の規模拡大が期待できるのではないでしょうか。

まとめ:非利回り価値を高めるために必要なこと

---最後に不動産クラウドファンディングの運営において、利回り以外の価値を高めるために必要なことや大切なこと、またそれらを踏まえて今後の運営方針などについて、お考えをお聞かせください。

香陵住販:

基本的には、投資家が何回も繰り返し投資できるようなファンドがよいと考えています。当社の不動産クラウドファンディング事業は、安心できる小口の不動産ファンドを提供したい、という思いからスタートしています。

当社は上場会社が地元密着で運営するインカム型のファンドを組成しており、今後も原点を忘れずに安心安全なファンドの提供を続けることで、投資家からの信頼を得ていきたいと考えています。

えんHD:

当社は福岡地盤のマンションディベロッパーとして実績を背景にファンドを組成してきましたが、2025年から、えんホールディングスグループの新しい事業方針として、「総合ディベロッパー」への進化を発表しています。

これからの当社の取り組みを運営の中に反映していく事で、全国の投資家の皆様にも知っていただきたいと考えています。

具体的には、自社ブランドのマンション物件だけではなく、ホテルや商業施設などの物件も扱うべく準備を進めています。今後の新たなファンドの取り組みにもご期待いただきたいですね。

マリオン:

当社のファンドについて、24時間365日いつでも入出金の受付、という点を中心に説明いたしました。

それに加えて、対象不動産のエンジニアリングレポートや不動産鑑定評価の取得、利害関係者との取引におけるコンプライアンス・リスク委員会の設置など、プロが運用する不動産ファンドと同等程度の投資プロセスを経て、対象不動産の選定を行っています。

ファンド側から情報開示を行っても、情報を咀嚼しきれない投資家も少なくありません。当社は今後も情報開示はもちろん、投資プロセスも重視して安心感あるファンドの運営を行って参ります。

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不動産クラウドファンディングでは、どうしても利回りに注目が集まります。

しかし、いくら利回りが高いファンドであっても、運営会社のファンド運営方針や開示情報などに納得感がないなどの場合、投資家はいったん立ち止まり冷静になる必要もあります。

今回お話をうかがった3社は、利回り以外の部分でそれぞれ独自の哲学やサービスを持ちファンド運営が行われています。

今回のインタビューも参考に、不動産クラウドファンディングへ投資検討する際は、利回り以外の部分についても、納得感を持った上で行ってはいかがでしょうか?

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    不動産クラウドファンディング等の情報を提供しています。投資初心者の目線に立った運営を目指しています。記事は情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する意思決定は、事業者の公式サイトにてリスク等の内容をご確認いただき、ご自身の判断にてお願いいたします。

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