不動産クラウドファンディングの短期型と長期型、それぞれのメリット・デメリットは?

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#投資の仕組み・スキーム #投資初心者
こんにちは。ブロガー・投資家の中田健介です。

不動産クラウドファンディングのファンドにはさまざまなものがあり、運用期間にも大きな幅があります。短いものだと1カ月というものから、長いものだと3年以上といったものもあります。

不動産クラウドファンディングの短期型・長期型のファンドにはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。また、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回は、この違いについて解説します。

短期型ファンドの特徴

不動産クラウドファンディングのファンドは運用期間12カ月程度のものが多く、明確な定義はないものの、12カ月を超えるものは比較的長期型、運用期間12カ月未満のものは比較的短期型ファンドであるといえるでしょう。

短期型ファンドの特徴は、不動産の売却益を主な配当原資とするキャピタルゲイン型ファンドが多いことが挙げられます。特に運用期間6カ月未満のものはこの傾向が強く、さらに運用期間〜3カ月といったファンドでは、ファンド募集時点ですでに売却先が決まっているようなケースもあります。

キャピタルゲイン型ファンドは、物件のリフォームでバリューアップを施して売却するといったスキームで運用され、比較的大きな利益が見込めるため、想定利回りが大きくなりやすいのも大きな特徴です。

長期型ファンドの特徴

運用期間が12カ月を超えるものは比較的長期のファンドといえます。長期型ファンドの特徴には不動産の賃料収入を主な配当原資とするインカムゲイン型ファンドが多いことが挙げられます。

インカムゲイン型ファンドは、長期にわたって安定的に収益を上げられるのが大きなメリットです。一方で、キャピタルゲイン型ファンドに比べると想定利回りはやや低めに設定される傾向があります。

長期型ファンドの中には物件を新築する開発案件なども含まれます。

短期型ファンドのメリット

短期型のファンドには、以下のようなメリットがあります。

メリット1.高利回りが設定されやすい

短期型ファンドはキャピタル型ファンドがメインです。短期間に不動産の売却を目指すものが多く、大まかな利益が決まっているため、運用期間を短くすることで結果的に年利換算の利回りが高くなります。

例えば、取得価格1億円の物件を1億1,000万円で売却する場合、1年間で運用すると年利換算の利回りは10%ですが、これを6カ月で運用すると、6カ月で1,000万円の利益を生むことになるため、年利換算では利回り20%になります。

メリット2.不動産の価格変動リスクを軽減できる

不動産は長期で保有するほど、経済動向による市場価格の変動リスクが高まります。例えば、「リーマンショック」や「コロナショック」のような大きな経済変動が生じた場合は不動産価格は大きく下落してしまいます。

しかし短期運用であれば、こうした事態に直面する可能性が低くなるほか、仮に直面したとしても、影響は限定的なもので済みます。

メリット3.資金拘束される期間が短い

短期型ファンドは、比較的短い期間で投資資金が償還されるため、近い将来に別の用途に資金を使う予定がある場合や、別の投資商品に投資したりする可能性がある場合でも対応しやすいというメリットもあります。

短期型ファンドのデメリット

一方、短期型ファンドには、以下のようなデメリットもあります。

デメリット1.投資効率が悪くなりやすい

例えば運用期間1カ月で想定利回り6%のファンドのケースを考えてみましょう。

仮に募集形式が抽選式で募集期間2週間、さらに入金期間が1週間、運用終了から償還まで1週間かかるとすると、「運用していないのに資金が拘束される期間」としてさらに約1カ月かかることになります。そして実際には2カ月の運用で6%の利回りを得ることになり、実質的に3%の利回りとなってしまいます。

事務的なことに関する期間は短縮に限度があるため、基本的に運用期間が短いほど投資効率は悪くなりやすいといえます。

デメリット2.すぐに再投資しなければならず面倒

短期のファンドに投資した場合、数カ月ですぐに満期となり資金が返ってくるので、また次の投資先を探す必要があります。

投資後はほったらかしでOKであることは不動産クラウドファンディング投資の大きなメリットですが、短期型ファンドでは、このメリットをスポイルすることにもなりかねない点には注意が必要です。

長期型ファンドのメリット

長期型ファンドには以下のようなメリットがあります。

メリット1.長期にわたり安定的な収入が見込める

長期型のファンドの多くは、不動産の賃料収入を配当原資とするインカムゲイン型ファンドです。そのため、投資期間中は安定的な収入が見込めます。中にはマスターリース契約を採用し、家賃保証のあるファンドもあります。そういったファンドでさらに安心感が高いといえます。

メリット2.長期にわたってほったらかしでOK

不動産クラウドファンディングは、一度投資をしたらあとはほったらかしでOKの投資商品です。長期型のファンドであれば、ほったらかしの期間も長期になるため、再投資の手間も含めて作業は最小限で済みます。

長期型ファンドのデメリット

一方、長期型のファンドには以下のようなデメリットがあります。

デメリット1.資金が必要になったときに対応しにくい

不動産クラウドファンディングは多くのケースで中途解約ができません。長期のファンドに投資してしまうと、何らかの理由で急に生活資金が必要になったり、別の投資商品に投資したくなった際には困ることになるかもしれません。 

デメリット2.大きな経済変動の影響を受けやすい

不動産クラウドファンディングは比較的経済動向の影響を受けにくい投資商品ではありますが、「リーマンショック」や「コロナショック」クラスの経済変動が起きると影響を受ける可能性があります。

運用期間の長いファンドに投資していると、投資期間中にそうした経済変動が発生する可能性も高まります。

短期型ファンドが向いている人

以下のような人は短期型ファンドへの投資が向いているでしょう。

1.近い将来資金を別の用途に使う可能性がある人

近い将来資金を別の用途に使う可能性がある人は、あまり運用期間の長いファンドへの投資は控え、短期型ファンドに投資したほうがよいでしょう。

2.こまめに再投資を楽しめる人

短期型ファンドを中心に投資していると、毎月のように満期を迎え、再投資する必要が出てきます。これを面倒だと感じない、あるいはむしろ楽しめる人であれば、短期型ファンドへの投資が向いているといえるでしょう。

長期型ファンドが向いている人

以下のような人には長期型ファンドへの投資が向いているでしょう。

1.短期間の収益性よりも長期間の安定性を求める人

長期型ファンドは、一度に大きな収益は狙いにくいものの、長く安定的な収益を期待することができます。

例えば、会社を定年退職したり、FIREを果たしたりした人で、まとまった投資資金があり、それを活用して生活のための収入が得たいという人には、安定的な利回りが期待できる長期ファンドが最適です。

2.できるだけ投資に手間をかけたくない人

仕事や家事などが忙しく、できるだけ投資に手間をかけたくない、という人にも長期型ファンドはおすすめです。一度投資すれば、満期になるまで特にやることはなく、ほったらかしで大丈夫です。

長期型・短期型それぞれに特徴あり

今回は不動産クラウドファンディングのファンドにおける短期型と長期型のメリット・デメリットについてまとめました。

どちらにも優れた特徴があり、一概にどちらがよいとはいい切れません。投資スタイルによって適したものは変わりますし、分散投資としてどちらにも投資する、といったやり方もよいでしょう。

それぞれの特徴をよく理解し、自分に合ったやり方で投資を行うようにしましょう。

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  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

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