不動産クラウドファンディングの税金事情|利益の仕組みと税の扱いをやさしく解説
公開日 2025/12/09
最終更新日 2025/12/09
「不動産クラウドファンディングで得た配当・売却益に税金はかかるの?」
「税金対策や確定申告はどうすれば?」
そんな疑問を持つ人のために、不動産クラウドファンディングに関わる税金の仕組みと、必要な対応をわかりやすく整理しました。
- ・不動産クラファンの利益は原則「雑所得」
- ・課税対象は分配金・売却益・償還差益・為替差益など
- ・源泉徴収の有無は事業者により異なるため要確認
- ・雑所得の合計20万円超なら確定申告が必要
- ・海外ファンドは為替差益の申告漏れに注意
- ・年間収益を管理して税務トラブルを予防することが重要
不動産クラウドファンディングとは?税金で注意すべき基本ポイント
不動産クラウドファンディングとは、運営会社が不動産の取得・運営・売却を行い、その収益を投資家に分配する仕組みの投資サービスです。
税金で特に注意すべきポイントは次の3つです。
- ① 得られる利益の種類が複数ある(賃料収益・売却益・償還差益など)
- ② 利益の大半は「雑所得」扱いになる(株やREITの「配当所得」とは異なる)
- ③ 源泉徴収されないケースがあるため申告が必要になることがある
不動産クラウドファンディングは「不動産投資」。
役所・税務署上の取り扱いは“事業所得でも不動産所得でもなく、基本は雑所得”となる点が重要です。
不動産クラウドファンディングで得た収益に関わる税金の基本ルール
不動産クラウドファンディングには、「どの収益に税金がかかるのか?」を最初に理解することが大切です。
不動産クラファンで課税されるもの(一覧)
- 分配金(運用利益):賃料収入や運営利益をもとにした分配 → 課税対象
- 売却益の分配:運営会社が不動産売却で得た利益の配分 → 課税対象
- 償還差益:元本より高く償還された場合 → 差額が課税対象
- 海外案件の為替差益(外貨建ての場合) → 課税対象
逆に、元本返還部分には税金はかかりません。
不動産クラウドファンディングの利益は「雑所得」
不動産クラウドファンディングの利益は、原則として「雑所得」になります。
よくある誤解として、以下がありますが正しい認識を持っておきましょう。
- 「分配金だから配当所得では?」→ ×
- 「不動産の収益だから不動産所得?」→ ×
- 「売却益は譲渡所得?」→ 多くの不動産クラウドファンディングでは ×
これらの理由は投資家が不動産を直接保有するわけではなく、投資家と運営会社の契約が 「匿名組合契約」 であることが多いためです。
匿名組合契約とは、出資者が事業者に資金を支払い、その事業から利益を分配してもらう契約です。
不動産クラウドファンディングの利用者は、不動産の経営に直接関わるわけではありません。
出資者として事業者のファンドに出資し、分配金を受け取っているだけのため、その利益は雑所得にあたります。
また、配当所得は株式などの上場有価証券から得られる利益に適用されるため、不動産クラウドファンディングの契約形態がこれに該当しません。
源泉徴収の有無について
不動産クラウドファンディングの事業者によっては、分配金に対して源泉徴収を行わない場合もあります。
- 源泉徴収あり → 一定の税率で差し引かれる
- 源泉徴収なし → 自分で確定申告して納税が必要
事業者ごとに異なるため、ファンドページの「分配金の税務扱い」表記を必ず確認する必要があります。
どのような場合に確定申告が必要になるのか
不動産クラウドファンディングの利益は雑所得であり、次のケースでは確定申告が必要になります。
① 年間の雑所得が20万円を超えた場合(会社員の場合)
給与所得者の場合、雑所得が20万円を超えると確定申告が必須となります。
以下、例。
- 分配金の合計が20万円超 → 申告必要
- 他の雑所得(ポイント・副業等)と合算して20万円超 → 申告必要
② 源泉徴収されていない場合
源泉徴収なしの事業者の場合、金額に関わらず原則申告が必要です。
※ただし税額がゼロの場合などは特例あり。
③ 海外案件で為替差益が発生した場合
外貨建てのファンドの場合、為替差益はすべて課税対象です。
- 為替差益を含めて申告する必要がある
- 外国税額控除が使えるケースもある(詳細は別記事)
為替差益は、購入や売却時における為替レートの変動で生じる利益です。
たとえば不動産クラウドファンディングで、アメリカの物件を扱うファンドに出資した場合、出資額は日本円から米ドルに変換したうえで運用されます。
為替差益も雑所得
さらに運用中に米ドルのレートが上がることもあります。
レートの上昇によって運用額が上がれば、そのぶんが為替差益になる仕組みです。
不動産クラウドファンディングで生じた為替差益は「雑所得」に分類されます。
一方、外貨建てファンドの利益が外国で課税された場合は「外国税額控除」としてその税額を日本の所得税から控除できます。
不動産クラウドファンディングの海外ファンドから利益を得た場合は、上記のルールを踏まえたうえで、確定申告の準備をしてください。
④ 複数の事業者を利用している場合
複数事業者の分配金を合算して20万円を超える場合は申告が必要です。
そのため、投資家自身で年間収益を集計する必要があります。
よくある誤解と注意すべきポイント
不動産クラウドファンディングの利益を確定申告するときは、以下の4点に注意しなければなりません。
- 「分配金=配当金」ではなく雑所得(税率が異なる)
- 「源泉徴収=申告不要」ではない(別所得との合算によって申告必要になる)
- 「元本返還=非課税」だが、償還差益は課税される
- 海外案件の為替差益を申告漏れしがち
不動産クラウドファンディングで出資者が得る分配金は、配当所得ではなく雑所得です。
配当所得と雑所得は税率が違うため、分配金を配当所得として確定申告すると、期限までに修正申告しなければなりません。
確定申告を忘れないように
また、多くの不動産クラウドファンディングでは、分配金に対して20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されますが、源泉徴収を行わない事業者もあります。
しかし源泉徴収された場合も、以下のいずれかに当てはまる場合は、確定申告が必要です。
- 給与や退職金以外の所得が不動産クラウドファンディングの分配金を含めて20万円超
- 正規の所得税額を源泉徴収が上回っている
為替差益もしっかり申告
加えて、返還された投資元本は利益に当たらないため未課税です。
ただし償還金が元本を超えると、上回った分が雑所得にあたるため、確定申告が必要です。
また海外ファンドに出資した場合、為替差益を見落とし、申告漏れにつながることがあります。
利益が発生した場合は、為替変動による収支も確かめておきましょう。
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まとめ
不動産クラウドファンディングで得た利益は、原則として「雑所得」として課税されます。
分配金・償還差益・売却益などの収益は課税対象で、源泉徴収の有無や年間の雑所得が20万円を超えるかどうかによって、確定申告の要否が変わります。
税務トラブルを避けるためには、ファンド選びの際に税務情報をチェックし、年間の収益を管理しておくことが重要です。